ミネルバ会計週報『令和3年改正・研究開発費税制 試験研究費の9.4%って何?』2021.10.11
2021/10/11
増減試験研究費割合「8%」が「9.4%」に
試験研究費の税額控除制度は、よく改正が入ります。令和3年についても見直しが行われ、令和3年4月1日から開始する事業年度については、税額控除率(一般型)は次のような計算方法になります。
〈試験研究費の税額控除〉
A 控除率の算式
>9.4% 10.145%+(A-9.4%)
×0.35(上限:14%)
≦9.4% 10.145%-(9.4%-A)
×0.175(下限:2%)
A:増減試験研究費割合
この算式では増減試験研究費割合が9.4%を超えると、控除率のカーブがグンと跳ね上がります。この9.4%(改正前8%)という数値は、政府の研究開発投資目標から持ってきた政策目標の数字です。
9.4%増で民間投資は90兆円(5年計)
政府は、令和3年から5年間で研究開発投資の官民合わせた累計額120兆円の確保を目指しています。民間企業は約90兆円が目標。単年度では14.2兆円(平成30年度)ですので、5年間、9.4%増加すれば、約90兆円が確保できることとなります。
大手の今年のR&Dは約8%増で計画
試験研究費の税額控除は、研究開発費が大きな大企業の適用額が大きいのが特徴です(平成30年の措置法適用実績 旧総額型 5,751億円・中小企業型357億円)。毎年、日刊工業新聞社が実施している「研究開発(R&D)アンケート」の2021年版ではR&D(計画)の上位3社は次のとおりです。
会社名 研究
開発費 売上高
比率 前期比
増減率
トヨタ自 1.16兆 3.9% 6.4%
ホンダ 0.84兆 5.5% 7.7%
ソニーG 0.61兆 6.3% 16.1%
解答した163社全体では、前年度実績比8.4%増となり、12年連続の増加です。
製薬会社のR&Dはダントツの高水準
また、新薬開発競争が激しい製薬会社のR&D(計画)は、次のとおりとなります。
会社名 研究
開発費 売上高
比率 前期比
増減率
武田薬品 0.52兆 15.5% 23.7%
第一三共 0.27兆 26.9% 17.0%
アステラス 0.24兆 18.3% 7.8%